JOEY NEGRO
世界で最も好きなDJは誰?と訊かれたなら、「それは、自分です」と即答してしまえる。勿論ジョ−クではなく、本気でそう思っているのだ。スキルの巧い下手はこの際問題ではない。自分こそがその嗜好を完全に把握している世界で唯一のDJに他ならないからである。ワハハ!そんな世間知らずで傲慢チキなワタシであるが、では世界で最も尊敬しているDJは?と訊かれたなら、間髪おかず"JOEY NEGRO"大先生の御姿が脳裏に浮かんできてしまう。
いたずらにテクニックを駆使するというのでも、額に汗してこれみよがしに陶酔するでもなく、いつも淡々とした表情でお皿を回している。良家のお坊ちゃまっぽい趣味のいい選曲と、ピリッと引き締まったタイトで歯切れのいいミックスは、なんとも心地よい刺激となって聴き手を優しくつつみこむのである。オリジナルの曲の良さを極限まで引き出し、リスナ−のイマジネ−ションをさりげないタッチで飛躍させ、その鮮やかなメロディに酔わせてしまうテクはマジで感涙もの。ク−ル、あるいはスマ−トという言葉がこれほどフィットするDJもいない。
"Joey Negro"は大袈裟でもなんでもなく、"Elton John"や"Paul McCartney"と同様に大英帝国の生んだ最良の才能の一つに数え上げられる。(と、ワタシ個人は思っている)その比類無き量のリミックスワ−ク、BRICK、MAJOR FORCE、LOLEATTA HOLLOWAY等を手掛けたハウスプロデュ−サ−としての手腕はいわずもがなであろう。ダンスクラシックの生字引ともいうべき膨大な知識、20年あまりのスタジオワ−クによって培われた経験、そして惜しみなく注がれるハウスミュ−ジックへの愛は、リアルな息吹となってDJプレイに反映されるのだ。
実際パ−ティ−へ足を運んでみて、彼ほど"エゴ"を感じさせない人も珍しい。だいたいさぁ、他人の曲で飯を食わせてもらっているのに、さも自分が作ったような偉そうな顔をしてプレイするDJのなんと多いことよ。自分が偉大なア−チストだと勘違いしてしまっている輩に限って、たいした曲を作っていないものなのだ。誰とはいわないが。師匠の爪の垢でも飲ませてやりたくなる。(笑)